共感的葛藤場面における看護師の共感と他者理解の捉え直しが援助行動に及ぼす影響/林智子 学科長・教授
患者に対する共感の過剰による「共感疲労」や患者に共感できない「共感不全」という「共感的葛藤」があり、これらは看護師の意欲を低下させ、対人援助を妨げる可能性が指摘されている。先行研究から看護師の共感(情動的・認知的)や他者理解(視点取得)による対人援助への影響が示唆された。
そこで本研究では、模擬共感葛藤場面を作成し、看護師の共感(情動面・認知面)が「共感的葛藤」(共感疲労・共感不全)と「患者支援行動」(患者支援の判断・援助行動)に及ぼす影響を明らかにし、さらに視点取得による「患者理解の捉え直し」という介入によって「共感的葛藤」と「患者支援行動」が改善するかを検討する。
基礎看護学、看護教育学の研究/平賀元美 教授
基礎看護学、看護教育学の分野で教育、研究を進めています。教育では大学生への看護の概念や看護技術に関する教育と、臨床で指導者として活躍している看護師や看護教員の方への教育方法、教育評価、看護教育課程に関する継続教育を実施しています。研究では、学習者の学びや、学習者が主体的に学ぶための教育方法、自己調整学習に関するテーマに取り組んでいます。
看護師の労働安全に関する研究(職場で被るハラスメント、危険薬による職業性曝露など)/白鳥さつき 教授
文部科学省科学研究費助成を受けながら、看護師の労働安全衛生に関する研究を続けています。看護師が被るハラスメントや暴力、職業被ばく、職業感染、抗がん薬による職業性曝露などを全国調査や医療従事者の唾液、尿などに含まれる抗がん薬の検出や環境汚染の調査をしています。これらの結果から如何に看護師が危険な環境で働いているかが明らかになっています。この結果を看護協会での研修会や学部教育に活用しています。また、看護協会や大学院教育では臨床における看護倫理の事例検討会を実施し、倫理的課題を追求しています。
多職種連携教育に関する研究/出原弥和 准教授
家族形態や生活様式が多様化される現在、患者が抱える問題は、病気による身体的な苦痛だけでなく、心理的不安、社会経済的不安、精神的苦痛まで多岐にわたります。様々な問題を抱える患者に対して、総合的に良質な医療を提供するには、多職種が情報を共有し、連携して協働することが重要となります。多職種の中で、看護の専門性を発揮し協働するためには、多職種連携教育が看護基礎教育から必要です。その効果的な学習をテーマに研究に取り組んでいます。
看護基礎教育における学内演習および臨地実習に関する研究、健康寿命・疾病構造に関する国際栄養研究/本多利枝 講師
疾病構造の変化や少子高齢化に伴い、看護師には多様な場における対象の多様性・複雑性に対応した看護を創造する能力が求められています。しかし、住環境の変化や科学技術の進歩等により、これまでに比べ、人間関係の希薄化や生活体験の不足が進んでいるといわれます。
看護学生が看護師に必要な基礎知識・技術を興味・関心をもち、自ら学んでいけるように看護基礎教育の研究に取り組んでいます。また、オープンデータベースを用いた健康寿命・疾病構造に関する栄養研究を行っています。
育児をする親の支援に関する研究/三輪桂子 助教
少子高齢化や人間関係の希薄化、生活スタイルの変化などから、育児環境も多様化しています。しかし、出産・育児が大きなライフイベントであることは変わりません。このような状況下で、子どもや家族は、様々な理由から不安やストレスを抱えやすくなります。子どもの健全な発育のため、また子どもや家族が心身の健康を保てるために研究に取り組んでいます。