地域住民の健康づくりに関する研究/西出りつ子 教授
人は、住み慣れた地域に家族と暮らし、自分らしい生活を送ろうとします。健康状態がその生活の基盤となります。住む地域の特性の違いや、人生のステージとその時に何を重要と考えるのか、これらにより多くの人が健康とは言い難いかもしれませんが、体・心・社会性のどの側面からも「自分なりの最高水準の健康を目指す」ことは可能です。健康的な生活に取り組む人には、応援してくれる家族と周囲の人たち、ともに取り組む仲間の存在は心強く、健康を支える様々な専門職や制度・施策の質の向上と関連施設・設備の整備が重要となります。健康に影響する地域社会のシステムを整えるには、それらの鍵を握る人たちを説得する科学的根拠が求められます。
これまで、自治体保健部門とのパートナーシップにより、母子保健や成人保健の科学的根拠を探る研究に取り組んできました。その成果を地域の保健活動に還元し、さらに看護基礎教育と自治体保健師の現任教育に活用しています。
中年女性における身体活動と健康に関する研究/工藤紀子 准教授
日本では、国民が可能な限り住み慣れた地域で人生の最期まで自分らしく暮らすことができるよう、地域包括ケアシステムの構築を推進しています。加齢や疾病による健康状態の悪化は住み慣れた地域での暮らしを難しくするため、高齢期の健康を見据えた介護・疾病予防が重要です。そこで、家庭と社会において多重の役割をもつ多忙な中年期女性を対象に、ウェアラブルデバイスを用いた身体活動の促進と、地域の特性や文化的習慣の強みを生かした健康づくりを目指す研究を行っています。
在日外国人の健康に関する研究/鈴木里美 講師
日本におけるグローバル化の進行は著しく、令和5年6月現在、在留外国人数は320万人を超え、増加の一途をたどっています。地域社会には多様な背景をもつ外国人が、婚姻や労働・学修目的により日本社会の一員として暮らし、家族とともに生活する方も増えてきました。日本に住む外国人は、生活習慣、文化、宗教、生活や健康上の価値観など、母国と日本の違いやコミュニケーションの難しさから、健康と日常生活に関する様々な課題を抱えています。文化が異なる国に暮らす南米出身の外国人とその家族の健康課題の特徴を捉え、解決のための方策を探る研究を行っています。
高齢がん患者の意思決定支援に関する研究/世俵智恵子 助教
日本の急速な高齢化に伴い、高齢者のがん罹患率が増加しています。高齢がん患者の治療の選択、療養の場、生活の再構築など様々な意思決定を継続的に支えるケアの充実を目指した研究に取り組んでいます。高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしが人生の最期まで続けられるよう、地域包括ケアシステムの構築が推進される中で、入院を受け入れた医療機関と在宅医療を担う医療機関との連携を図り、継続看護の強化につながる在宅療養移行支援について検討しています。